原因疾患がある場合はその治療を行い、薬の副作用で生じている場合は処方を見直します。それ以外の原因で生じている場合には、食事や排便習慣を含む生活習慣の改善と薬物療法によって症状を改善に導き、再発予防を視野に入れた治療を行います。
身体を動かすことで腸の働きも活発になるため、軽い運動を習慣的に行い、便意があったらすぐトイレに行く習慣を付け、水分をしっかりとるよう心がけてください。食事は特に便意解消の要になりますので、食生活を見直しましょう。
食事
水分・食物繊維をしっかりとりましょう。また、腸内環境を整えるために善玉菌になる乳酸菌をしっかりとることも有効です。
栄養バランスにとれた3食を規則正しくとり、適度な脂肪をとることも快適な便通には重要です。ダイエットで脂肪摂取を極端に制限してしまうことがありますが、便秘を解消するためには適度な脂肪の摂取が不可欠です。
食物繊維
食物繊維は消化されないため、便の量を増やして便秘を解消し、スムーズな排便を助けてくれます。食物繊維には有害物質を吸着し、便として体外に排出するというデトックスの役割も担っており、体調を整えるためにも重要です。
また、糖分や脂肪分の吸収を遅らせるので、食後の血糖値上昇をゆるやかにして、コレステロール値を抑制する効果も期待できます。食物繊維は水に溶ける水溶性と溶けない不溶性に分けられ、玄米や野菜は不溶性食物繊維を多く含み、便を硬くしやすい傾向があります。
水溶性食物繊維やワカメなどの海藻やキノコ、納豆などに多く含まれており、便をやわらかくする効果があります。便秘のタイプによって、適した食物繊維のとり方が変わってきますので、ご自分に適したバランスやとり方を心がけることが重要です。
腸内フローラ(腸内細菌叢)
便を構成しているのは、食物繊維と腸内細菌、そしてはがれた腸粘膜などの老廃物です。乳酸菌は腸内で糖を代謝して乳酸をつくり、それによって周囲を弱酸性にして悪玉菌の発生を抑制し、善玉菌の増殖を促進します。
善玉菌が増えることで便の量が増加してスムーズな排便につながります。また、菌株によって作用や効果が異なるものもあります。腸内フローラの状態を整えるためには、乳酸菌をしっかりとることが有効です。
なお、乳酸菌にはヨーグルトやチーズなどに含まれるだけでなく、漬物やみそ、醤油などにも含まれており、和食や菜食でも十分に乳酸菌をとることができます。
薬物療法
便をやわらかくしてボリュームを出す薬、蠕動運動を活発にする薬があります。蠕動運動を活発にする薬は、服用しないと蠕動運動が起こせなくなり、便秘を悪化することがあり、慎重な処方が必要です。
最近はこれまでとは作用機序や効果のあらわれ方が異なる薬も登場し、市販薬では十分な改善が得られなかった方も効果を期待できるようになっています。また、当院では漢方薬の併用も可能であり、便秘タイプや症状、お悩み、ライフスタイルなどにきめ細かく合わせた処方を行っています。
また、再診時には効果などを確認した上で処方を微調整して、より快適な状態に導けるようにしています。薬に関する気になることやご要望がありましたらお気軽にご相談ください。