胃がんについて
胃がんとは、胃の壁のもっとも内側にある粘膜の細胞が、何らかの原因によってがん細胞になり増殖を繰り返すことで発生します。
胃がんは、大きくなるにつれて、徐々に胃の壁の外側に深く浸潤していきます。がんがより深く浸潤するにつれ、リンパ節や他臓器に転移するリスクが高まり、胃の外側にある大腸や膵臓、腹膜にも直接広がっていくことがあります。
胃がん
胃がんとは、胃の壁のもっとも内側にある粘膜の細胞が、何らかの原因によってがん細胞になり増殖を繰り返すことで発生します。
胃がんは、大きくなるにつれて、徐々に胃の壁の外側に深く浸潤していきます。がんがより深く浸潤するにつれ、リンパ節や他臓器に転移するリスクが高まり、胃の外側にある大腸や膵臓、腹膜にも直接広がっていくことがあります。
胃がんは、発症に関わる要因がいくつか指摘されています。喫煙習慣、塩分の過剰摂取、またヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)への持続的感染などが、胃がんの発生リスクを高めるとされています。
胃がんの検診方法として「効果がある」とされているのは「問診」に加え、「胃部X線検査」、「胃カメラ検査(胃内視鏡検査)」のいずれかとされていますが、がんをより早期発見するには、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)が優れています。
胃がんは、がんの小さい早期の段階では症状が現れることは少なく、かなり大きくなって進行した段階であっても、症状が現れにくいことがあります。
主な症状としては、みぞおちの痛みや不快感、胸やけ、食欲の低下、吐き気などがあります。これらは胃がん特有の症状というわけではありませんので、検査を行って評価することが必要です。
そのほか、胃がんからの出血のため、黒色の便が出たり、体重が減ったりするといった症状から検査を行い、結果的に胃がんと診断されることもあります。
胃がんのステージ評価にはTNM分類と呼ばれる方法を使用します。
「T:がん浸潤の深さ」、「N:領域リンパ節への転移の数」、「M:離れた臓器への転移の有無」の組み合わせで評価します。進行度に応じてⅠ~Ⅳ期までのステージがあります。さらに細かく分けるとⅠA、ⅠB、ⅡA、ⅡB、ⅢA、ⅢB、ⅢC、Ⅳの8段階に分類されます
ⅠA:がんの浸潤が粘膜下層までにとどまっており、リンパ節転移がないもの。
ⅠB:がんの浸潤が固有筋層まで広がっている、もしくは粘膜下層まででとどまっているがリンパ節転移が1~2個認めるもの。
がんの浸潤が漿膜の表面を超えているが、他の臓器には達していないもの。深達度とリンパ節転移の数でⅡA~ⅡBに分類されます。
がんの浸潤が漿膜の表面を超え、他の臓器まで達しているもの。深達度とリンパ節転移の数でⅢA~ⅢCに分類されます。
深達度やリンパ節転移の有無にかかわらず、多臓器への遠隔転移があればⅣに分類されます。
治療に関してはステージⅠAの場合、内視鏡治療が可能です。ステージⅠB~ⅢCでは手術、ステージⅣでは抗がん剤治療となります。
胃がんが疑われる場合、必要に応じて次のような検査をいたします。
血液検査
貧血や炎症の有無、肝機能、腎機能など全身の状態を把握するために血液検査が行われます。
また、血液検査は「腫瘍マーカー」と呼ばれるがんを発症すると体内での産生量が増える特定の物質の有無を調べることもでき、診断の手掛かりとなるだけでなく病状や治療効果を判定することも可能です。
画像検査
がんの有無やがんの状態を調べるためには画像検査を行う必要があります。X線検査や超音波検査などは簡便に行うことができ、がんの有無や大まかな大きさ・位置などを調べることが可能です。
しかし、より詳しい状態や転移の有無などを調べるには、CT検査やMRI検査、PET検査が必要になることもあります。また、食道、胃、大腸など内視鏡を挿入して観察できる部位にあるがんに対しては内視鏡検査が行われます。
病理検査
がんの病変部の組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく観察したり、がんを引き起こす遺伝子変異の有無などを調べたりする検査です。
病変部の組織の採取方法はがんの種類によって異なり、胃や大腸、食道、膀胱などのがんは内視鏡を用いた採取が行われます。内視鏡が届かない範囲に発生するがんの場合は、体表面から病変部に目掛けて針を刺して採取する方法があります。
当院では、胃がんが発見された場合、周囲のリンパ節や他臓器への転移がないかを調べるために、腹部超音波検査やCT検査などを行い、治療法を決定していきます。
転移の可能性のなく、病変が粘膜ないにとどまっているものは、内視鏡的切除術が行われます。手術と比較して体への侵襲が少なく、切除する範囲も小さいため術後の食生活にも支障が出にくいです。
内視鏡治療には金属のリング状のワイヤーを病変にかけて電気を通して切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)と、内視鏡の先端から電気メスのようなナイフをだし直接病変を切り取る内視鏡的粘膜下層切除術(ESD)があります。
また、胃がんの内視鏡治療後に、ピロリ菌を除菌すると、その後の胃がん発生率が33~50%程度に抑制されるといわれています。しかし、除菌後もリスクは残るため、定期的な内視鏡検査が必要となります。
病変が筋層より深いところまで浸潤している場合は外科的手術が選択されます。手術方法に関しては臍の上に20cm程度切開しがんを切除する開腹手術、もしくはおなかに1cm前後の小さな穴を数か所開けて、そこから処置具を挿入しがんを切除する腹腔鏡手術があります。
手術を行った後に一定期間抗がん剤を内服することもあり、これを補助化学療法といいます。
切除不能な胃がんは抗がん剤の治療となります。治療法は1次療法から始まり、治療効果や副作用に応じて2次療法、3次療法へ変更していきます。
胃がんの場合HER2という特殊なたんぱく質が発がんに関係している場合があり、このHER2が陽性であればトラスツズマブという薬を含めた治療法が選択されます。また、近年免疫チェックポイント阻害薬という新しい作用機序の薬が登場し抗がん剤治療の幅が広がっています。