胃カメラとは

胃カメラとは、食道や胃、十二指腸などの内部の様子を観察する際に用いられる検査機器ですが、現在多くの医療現場で用いられているのは上部消化管内視鏡です。あまりにも胃カメラという言葉が普及したこともあって、内視鏡に変わった今でも一般的には、胃カメラあるいは大腸カメラと呼ばれることが多いです。
上部消化管内視鏡は、ビデオスコープとビデオシステムの本体に大きく分けられます。ビデオスコープの部分の細長いチューブの先端には、超小型で高性能なCCDカメラ、内部を照らすライト、物をつかむ鉗子などが内蔵されていて、鼻および口からスコープを挿入していくことで、食道や胃の内部の様子を確認していきます。なおカメラが捉えた映像は、本体にあるモニタを通じて、リアルタイムで観察できるようになります。また、病変が疑われる組織がある場合は一部を採取して、顕微鏡で詳細を調べることもできます(生検)。検査時間につきましては、観察だけであれば5分程度で済みます。
以下のような症状や疑いなどがあれば、胃カメラ検査をお勧めします
- みぞおち周囲に痛みがある
- 胸やけ
- 酸っぱいものが込み上げる
- 黒い便が出る
- 慢性胃炎が疑われる
- 体重が減少している
- 胃がんの検査をしたい
- ピロリ菌の感染が疑われる
- 食欲が低下している
胃カメラ(上部消化管内視鏡)で発見できる主な病気
- 逆流性食道炎
- 食道がん
- 食道裂孔ヘルニア
- 胃炎
- 胃・十二指腸潰瘍
- 食道がん
- 胃がん
- ポリープ(食道・胃・十二指腸)
- 食道・胃静脈瘤
- 粘膜下腫瘍(食道・胃・十二指腸)
経鼻、経口ともに対応
上部消化管内視鏡は、鼻から挿入する経鼻内視鏡と口から挿入する経口内視鏡の2種類ありますが、当クリニックはどちらにも対応しています。そのため、胃カメラによる検査が決まった時点で、どちらのタイプにするかを決めていただきます。それぞれの特徴は以下の通りです。
経鼻内視鏡
左右どちらかの鼻腔からスコープ(細長いチューブ)を挿入するため、直径は約5~6mmと細いのが特徴です。この場合、スコープが舌の根に触れることがありませんので、嘔吐反射(えずく)のような症状は少なく、体への負担も軽減されるようになります。そのため、鎮静剤を使用しないで行うこともできます(希望者には投与します)。また検査中は、口呼吸となりますので、医師に話しかけることもできます。気になることがあれば、遠慮なく質問するようにしてください。
また一般的な経口内視鏡のチューブの径(直径10mm程度)と比べると太さが半分程度なので、画質を心配する声も一部にはありますが、検査に影響が出るというほどではなく、また経鼻内視鏡自体の開発も進み、経口内視鏡と遜色ない画質の機種も登場してきています。
なお経鼻内視鏡を希望されていても、鼻の違和感がどうしても苦手、鼻腔が先天的に狭い、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの病気を発症している、鼻中隔湾曲症の方につきましては、経口内視鏡での検査をお勧めしています。


経口内視鏡
従来からある口からスコープを挿入していくタイプになります。そのため、スコープが喉を通過する、舌の根に触れるということがあるので、嘔吐反射(オエッとする)が出やすくなります。検査中に苦しい思いをできるだけ軽減できるよう、ご希望の方には鎮静剤を使用していきます。また検査中は多くの空気が体内に入っていくのでゲップが出やすい状態となりますが、あごを引くなどしてがまんしていきます。
なお当院では経口内視鏡の際に経鼻内視鏡のチューブを使用します。利点としては嘔吐反射が一般的な経口内視鏡のチューブと比べて少ないという点です。
検査をする際の注意点
胃カメラによる検査を希望する場合ですが、一度診察予約をしていただき検査日を決めていきます。医師が必要と判断した場合は、血液検査(感染症の有無を調べる)や常用薬の確認も行っていきます。抗凝固剤を服用している場合は、生検(組織の検査)ができない場合もあります。
検査の前日ですが、できるだけ消化の良いものにし、夕食については19時頃までには済ませるようにしてください。飲み物については、水やお茶であれば制限はありません。当日の朝は絶食します(飲み物はお茶や水を検査2時間前までにコップ一杯程度)。高血圧、心臓病、てんかん、喘息の服用薬を使用している方は、いつもよりは早めに服用するようにします。また午後からの検査の場合は朝食を午前8時までに済ませてください。朝のお薬はいつも通り服用してかまいません。午前中の行動の制限はなく、お水やお茶は検査の2時間前まで摂取可能です。来院時の注意点ですが検査時に鎮静剤をご希望される方は、ご自身での運転(車・バイク・自転車など)による来院はおやめください。
検査時の主な流れは、次の通りです。
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1.胃の中の泡を消泡剤で除去
胃の中で発生する泡というのは、検査の邪魔になりますので、事前に消泡剤を服用して除去していきます。
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2.局所麻酔を投与
検査前に局所麻酔をしますが、経鼻内視鏡は鼻腔にゼリー状の麻酔を、経口内視鏡では喉にゼリー状の麻酔または喉スプレーをしていきます。
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3.検査開始
検査台の上に横になると検査開始です。鎮静剤を投与する場合は、この時点で行います。鼻もしくは口から内視鏡を挿入していき、食道、胃、十二指腸など内部の様子を一通り観察します。なお経鼻内視鏡であれば検査中でも、医師に話しかけることができます。また病変が疑われる組織は採取し、詳細を顕微鏡で調べることもあります。
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4. 検査終了
観察のみであれば5~10分程度で終了です。鎮静剤を使用した場合は、院内で30分~1時間程度お休みいただきます。その後、ご帰宅となります。
検査後の注意点
- 経鼻内視鏡による検査をした方は、当日は強く鼻をかまないようにします。
- 飲食は検査終了後、1時間程度経過してからにしてください(組織を採取の場合は2時間後)。
- 鎮静剤を使用した方は、当日の飲酒は控えてください。
検査料金表(目安)
3割負担 の方 |
2割負担 の方 |
1割負担 の方 |
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胃カメラ | 4,500円 | 3,000円 | 1,500円 |
胃カメラ + 病理検査 |
9,000円 | 6,000円 | 3,000円 |
- 上記はおおよその金額となります。
薬剤、組織検査の数などによって金額が異なります。