はじめに
便潜血検査で「陽性」という結果が出ると、「もしかして、がん?」「すぐに病院に行かないとダメ?」と不安に思われる方がたくさんいらっしゃいます。今回は、便潜血検査が陽性だった場合の緊急性について、お答えします。
便潜血検査が陽性…緊急性は高い?
目次
便潜血検査で「陽性」という結果が出ると、「もしかして、がん?」「すぐに病院に行かないとダメ?」と不安に思われる方がたくさんいらっしゃいます。今回は、便潜血検査が陽性だった場合の緊急性について、お答えします。
結論から言うと、便潜血検査が陽性だったからといって、必ずしも緊急性が高いわけではありません。
便潜血検査は、便の中にわずかに混じった血液を検出するものです。この血液は、大腸がんだけでなく、以下のようなさまざまな原因で出ることがあります。
〇痔
〇大腸ポリープ
〇炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)
〇感染性腸炎
〇その他の良性疾患
便潜血検査は、あくまで「スクリーニング検査」と呼ばれ、精密検査が必要かどうかをふるい分けるためのものです。学校の身体測定のようなものだと考えてください。身長が基準より低かったり、視力が悪かったりしたときに、精密検査(眼科や専門医の受診)を勧められるのと同じです。
便潜血検査が陽性だった場合に最も重要なのは、「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」を受けることです。
大腸カメラは、便潜血検査ではわからない「出血の原因」を特定するための精密検査です。内視鏡を使い、大腸の内部を直接観察することで、ポリープやがん、炎症の有無などを正確に診断できます。
もし、検査でポリープが見つかった場合、その場で切除することも可能です。これにより、将来的にがんに進行するリスクを減らすことができます。
便潜血検査が陽性でも「自分は痔だから大丈夫」と自己判断して放置するのは非常に危険です。出血の原因が痔だと思っていたら、実は初期の大腸がんだったというケースも少なくありません。
大腸がんは、早期発見・早期治療ができれば、ほとんどの場合で完治が可能です。しかし、進行してしまうと治療が難しくなります。
便潜血検査は、自覚症状のない早期がんやポリープを発見するための貴重なチャンスです。この機会を逃さないでください。
便潜血検査が陽性でも、焦る必要はありません。ただし、必ず精密検査である「大腸内視鏡検査」を受けてください。
自己判断で放置することは、最も危険な選択です。
当院では、患者様の不安な気持ちに寄り添い、丁寧な説明を心がけています。大腸カメラは苦しい検査というイメージがあるかもしれませんが、当院では最新の機器と鎮静剤を使用することで、できるだけ楽に検査を受けていただけるよう努めています。
便潜血検査で陽性だった方は、一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。