大腸がんの早期発見・予防には大腸カメラとポリープ切除|ふくろう内科クリニック|日野市多摩平

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大腸がんの早期発見・予防には大腸カメラとポリープ切除

大腸がんの早期発見・予防には大腸カメラとポリープ切除|ふくろう内科クリニック|日野市多摩平

大腸がんについて

こんにちは、東京都日野市多摩平にあるふくろう内科クリニックです。
今回は大腸がんの話をさせていただきます。

2021年の人口動態統計によると、日本人の死因第1位はがん(38万1497人/年)ですが、中でも大腸がんは罹患数が第1位、死亡数が第2位となっており注意しなければいけない病気であると言えるでしょう。また、大腸がんは早期発見できれば内視鏡的に治療できますが、進行して発見された場合はおなかにメスをいれなければいけません。さらに遠隔転移が認められれば手術が困難な場合もあります。そうならないためにも大腸がんの危険なサイン、そして適切な対応をお伝えしたいと思います。

結論

・血便が続いたら必ず大腸カメラ
・切除適応の大腸ポリープはしっかり治療
・便潜血検査は面倒くさがらずに継続

血便が続いたら必ず大腸カメラ

まずは大腸の機能を確認していきましょう。
大腸は私たちが食べた物の終着地点であり、食べ物の水分を吸収し便として体の外に出す働きがあります。大腸の構成ですが、大きく分けると結腸、直腸の2つに分類され、さらに結腸は右半結腸、左半結腸に分けることができます。もう少し細かく分類すると盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸というように分けられます。盲腸は退化した臓器と言われており、特別な働きはありません。上行結腸~下行結腸で水分と一部の電解質を吸収され徐々に便が固くなっていき、S状結腸で便の形になり一時的にためられ、最終的に直腸から体外へ排泄されます。

この便の通り道にできるがんが大腸がんです。がんができるとどのような症状が起こるかというと、がんは内部に異常血管を含んでいるため便が通ると擦れて出血することがあります。当然ですが便が固いと出血しやすいです。この出血が便に混ざることによって血便となり「トイレをした後に便器が真っ赤に染まる」という現象が起こります。また、がんが大きくなると便の通過障害が起こり腹痛、便通異常なども認められます。これらの症状はがんができる場所によって異なってきます。

がんができる場所

右半結腸

右半結腸での便の性状は水様~ドロドロなので出血、便通異常、腹痛などが認めにくいです。よってがんができても早期発見が難しい部位となります。

左半結腸

左半結腸は便が固くなってくる部位であり、大腸がんによる閉塞で便通異常や腹痛を認めることがあります。また、便に血が混ざり赤黒い便~粘血便を認めることがあります。

直腸

直腸は肛門に最も近いところなので真っ赤な便(鮮血)を認めます。直腸診をした際に腫瘤が触れることもあります。

がん発生頻度を部位別でみてみると盲腸が6%、上行結腸が11%、横行結腸が9%、下行結腸が5%、S状結腸が34%、直腸が35%というようにS状結腸と直腸ができやすい場所となります。S状結腸と直腸で発癌率が高いのは、この部位は腸内細菌が多く、腐敗した菌によって有害物質が発生しやすいからと言われています。

大腸がんのリスク

切除適応のポリープはしっかり治療するようにしましょう。
大腸がんのリスクとされているものを以下にまとめます。

大腸ポリープ

大腸ポリープには炎症性ポリープ、過形成ポリープ、過誤腫性ポリープ、腫瘍性ポリープなど色々な種類がありますが、切除は必要なポリープは腺腫性ポリープです。腺腫性ポリープは大腸ポリープの約80%を占めていると言われており、悪性化して大腸がんになることがあります。

炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患を罹患している方は大腸がんのリスクが上がると言われています。これらの病気は「指定難病」として国が定めており、発症した場合、長期間の治療が必要です。潰瘍性大腸炎に関しては発症10年以上経過した「全大腸炎型」での癌化リスクが高いと言われています。

遺伝的要因

大腸がんの約5%は遺伝性のがんと言われており、このような方は他のがんにもかかりやすくなります。また、大腸がんの約25%は複数の遺伝子変異が関係していると言われています。

加齢

年をとるにつれて遺伝子が傷つき癌になりやすくなってきます。統計では40-50歳ぐらいから大腸がんのリスクが上がると言われています。

生活習慣

「食の欧米化」など肉中心の食事、不摂生を続けることで大腸がんのリスクが上がると言われています。アルコール摂取に関してはビールジョッキ3杯を毎日飲んでいると大腸がんのリスクが2.15倍上がるという報告もあります。

中でも大腸がんを予防するうえで重要なリスク因子となるのは大腸ポリープだと思います。なぜならば、リスクを肉眼で確認することができ、切除することでしっかりとがんの芽を摘むことができるからです。切除を考慮するポリープとしては大きさが6mm以上の腺腫性ポリープとされていますが、5mm以下のポリープでも見た目でがんの成分が含まれていそうなら切除の対象となります。ポリープの切除法としてはEMR(内視鏡的粘膜切除術)、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、CSP(コールドスネアポリペクトミー)がありますがよく使われるのはEMRとCSPです。

EMR

病変の下の層に液体を注入し、ポリープを粘膜の表面から浮かせます。その後ポリープにスネア(輪っか状の電気メス)をひっかけて通電して切除します。適応病変としては①腺腫性ポリープ、②転移巣のない早期癌までとなります。大きいポリープも切除可能ですが医療機関によっては入院での治療となる場合もあります。

CSP

病変の下に直接スネアをひっかけて通電せずに切除する方法です。適応としては①大きさ10mm未満、②茎がないポリープ、③肉眼所見ががんでないとなります。10mm以上の大きいポリープは切除できませんが出血のリスクが少ないため、日帰りでの手術が可能です。

 

 

 

 

 

 

 

※上がEMR、下がCSP

便潜血検査は面倒くさがらずに継続

便潜血検査は大腸がん検診でも使われている検査であり、40歳以上の方は経験されたことがあると思います。体への侵襲も少なく受けやすい検査です。陽性になれば大腸カメラで精密検査を行うわけですが、ただの痔であることもしばしばあります。そのため翌年に再度陽性になっても「また痔が原因じゃないか?」と大腸カメラをやりたがらない方もいらっしゃいます。しかし、中には切除適応の大腸ポリープが見つかる方もいるために陽性の方はほったらかしにしないでまずは受診をしましょう。

今回は大腸がんの内容でした。みなさん大腸がんに対する知識を高め健康な腸を保ちましょう!
他にも気になる症状、大腸がんでわからないことがあればお気軽にご相談ください。

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