膵がんの5年生存率は進行度にもよりますが、全体として10%前後と言われています。しかし早期に診断できれば予後が望めるものもあり、このような膵がんをTS1膵がん(組織学的に腫瘍径が2cm以下の膵がん)と呼びます。特に腫瘍径10mm以下のものは5年生存率が80%を超えるものもあり、比較的予後が望めるためいかに早期発見できるかが重要になってきます。そのためには手遅れになる前に検査を行い、治療を受ける必要があります。
私は大学病院で勤務していた時に膵がんの早期発見・精査・治療のチームに所属していました。その際に調査していたことの一部をご紹介いたします。
2010年~2019年のうちに膵がんを早期発見(TS1膵がん)でき、治療ができた46症例を調査しました。症例の背景として、平均年齢は69.5歳( ±7.8歳)、男性19例、女性27例でした。
発見契機としては有症状、高血糖、IPMNフォロー中、画像検査、腫瘍マーカー高値、アミラーゼ高値、肝機能障害が上げられ中でも有症状で受診された方が約40%を占めていました。各症状の中では腹痛、背部痛が多い傾向にありました。
次に腹部超音波、CT、MRI 、EUS(超音波内視鏡)での腫瘍描出率を比較しました。結果、腫瘍描出率は超音波が36/46例(78.3%)、CTが37/46例(80.4%)、MRIが33/43例(76.7%)、EUSが42/43例(97.7%)であり、EUSの検出率が他のモダリティに比べて有意差をもって高い結果となりました。また超音波での主膵管拡張描出率は40/46例(87.0%)でありました。