内視鏡検査を行うことで食道・胃・十二指腸・大腸内に存在する病変を見つけることができます。病変の種類には大きく分けて良性疾患と悪性疾患(がん)がありますが、特に悪性疾患を見つけることが重要となってきます。
消化管内の悪性疾患は早期発見できれば内視鏡的に切除することが可能ですが、進行してしまうとおなかにメスを入れなければなりません。また肝臓、腹膜、リンパ節などに転移があれば切除も難しくなります。
早期がんは症状を伴わないことが多いため、いかに早い段階で内視鏡を行い、病変を見つけ治療に進むかが重要です。
食道がん
食道粘膜にできる悪性腫瘍で、主に高塩分の食事、ヘビースモーカー、アルコール多飲者に多いと言われています。最近ではバレット食道を発生母地とするバレット食道がんも増えてきています。
進行すると食べ物のつかえ感、胸の痛み、声枯、黒い便、吐血などの症状が出現します。早期の段階では無症状のことが多いですが、まれに熱いものを食べたときに胸がしみる感じや違和感が出ることもあります。
胃がん
胃粘膜にできる悪性腫瘍で、主にピロリ菌感染者、除菌後の方に多いと言われています。一般的な消化管がんは40~50歳代で罹患率が上がってきますが、スキルス胃がん(4型胃がん)の場合は比較的罹患年齢が低く20~40代での罹患が多く、男性より女性に多い傾向があります。
進行すると腹痛、食思不振、吐き気や嘔吐、黒い便、吐血などが見られます。また、スキルス胃がんでは、がん細胞が腹膜に転移する腹膜播種を起こしやすいため、腹水がたまりおなかが張ってくることがあります。
早期の段階では無症状のことが多いため、ピロリ菌感染者、除菌後の方、若い女性で腹部症状がある方は注意が必要です。
十二指腸がん
十二指腸粘膜にできる悪性腫瘍で食道がん、胃がん、大腸がんと比較すると罹患率は低い病気です。早期ではほとんど症状がありませんが、進行すると腹痛、腹部膨満感、悪心・嘔吐などの症状がみられます。
また、十二指腸乳頭部(胆汁の出口)付近にできると、胆汁の流れが悪くなり黄疸が見られることもあります。小さい腺腫(良性腫瘍)の場合は内視鏡的に切除できますが、十二指腸は粘膜が薄く、内視鏡治療が難しい場合もあるため慎重に治療方針が決められます。
大腸がん
大腸粘膜にできる悪性腫瘍で、発症には大腸ポリープ(腫瘍性ポリープ)、炎症性腸疾患、遺伝的要因、生活習慣が関係していると言われています。部位別ではS状結腸、直腸での罹患が多く、進行すると血便、腹痛、便通異常などの症状が見られます。
早期の段階では無症状のことが多いです。健康診断などの便潜血検査でひっかかり大腸カメラを行った際に見つかる場合もあります。