ピロリ菌の感染経路は?|ふくろう内科クリニック|日野市豊田駅

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ピロリ菌

ピロリ菌の感染経路は?|ふくろう内科クリニック|日野市豊田駅

ピロリ菌って何?

ピロリ菌って何?

正式にはヘリコバクター・ピロリ( Helicobacter pylori )と呼ばれるらせん状の細菌で、胃粘膜に感染するバクテリアです。大きさは1~2μm程度で鞭毛と呼ばれるひげの部分を回転させて胃の中を移動します。

胃の中には、食べ物を消化し、食べ物の腐敗を防ぐために、胃液が胃粘膜から分泌されています。胃液には、強い酸が含まれているため通常の菌は生息できません。しかし、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を作り出すことで、胃の中の尿素を分解してアンモニアを発生させます。

アンモニアはアルカリ性なので、ピロリ菌のまわりの胃酸が中和され生存可能な環境を作り出します。また、ピロリ菌はCagAという特殊なたんぱく質を胃粘膜内に分泌してがん化を進ませます。よって早期発見と治療により、胃がんを含むピロリ菌関連の疾患の予防と管理することが大切です。

ピロリ菌が原因でなる病気

ピロリ菌は主に胃がん、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎(H.pylori胃炎)、過形成ポリープ、機能性ディスペプシア、胃MALTリンパ腫などの胃の疾患と関連しています。このバクテリア感染が起こることで、胃内壁に影響を与え、潰瘍の形成を促すことがあります。

また、長期の感染は慢性の胃炎が進行させ、その炎症から胃がんの発症リスクを高める要因とされております。一部の人々では、ピロリ菌感染が胃の不快感や痛みを引き起こす機能性ディスペプシアにも関与すると考えられています。

胃の疾患の他にも、ピロリ菌感染は特発性血小板減少性紫斑病、慢性蕁麻疹、鉄欠乏性貧血などの疾患と関連があると言われています。

ピロリ菌の検査方法について

ピロリ菌の有無を調べる検査には、呼気検査、血液検査、便検査、内視鏡検査があります。呼気検査は、特定の物質の呼気中の存在を検出する方法で、広く用いられます。血液検査は、特定の抗体を検出して感染の有無を判定します。

便検査は便中のピロリ菌を検出する手法で、特に子供に適しています。内視鏡検査では胃内部を観察し、生検を行って感染の有無を確認します。

これらの検査方法を適切に組み合わせ、専門医の指導の下で選択することが、正確な診断と治療のステップとなります。

胃カメラを使用する検査

迅速ウレアーゼ試験

胃の組織を採取して、ピロリ菌が作り出すアンモニアによる反応を試薬で調べます。

鏡検法

採取した組織を染色して、顕微鏡でピロリ菌の存在を確認します。

培養法

採取した組織を培養して、ピロリ菌が増えるかどうかを見て判定します。

胃カメラを使用しない検査

尿素呼気試験

検査用のお薬を飲んでいただき、一定時間経過した後の息(呼気)にピロリ菌の反応が出るかを調べます。身体の負担が少なく、簡単で感度も高い検査です。

血液、尿検査(抗体反応)

ピロリ菌に感染していると体の中に抗体ができます。血液や尿を採取してこの抗体の有無を調べます。

便中抗原検査

便中のピロリ菌の抗原を調べます。身体への負担がなく、お子さんでも受けやすい検査です。

※当院では簡便で侵襲の低い、血液による抗体検査と便中抗原検査を提供しております。

ピロリ菌の除菌治療の流れ

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医師の診断

下記の疾患を除菌治療の対象とし、胃内視鏡検査でピロリ菌が棲んでいそうな胃粘膜と診断した場合は、ピロリ菌検査によって確定診断を行います。

除菌治療が推奨される疾患

  • 慢性胃炎(H.pylori胃炎)
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
  • 早期胃がんに対する内視鏡治療後胃
  • 過形成ポリープ
  • 機能性ディスペプシア(H.pylori関連のもの)
  • 胃MALTリンパ種
  • 特発性血小板減少性紫斑病
  • 鉄欠乏性貧血
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1次除菌治療

確定診断でピロリ菌が認められなかった場合…上述の各疾患を治療していきます。

確定診断でピロリ菌の感染が認められた場合…服薬による除菌治療を7日間行います。2種類の抗生物質と1種類の胃酸を抑える薬を1日2回(朝晩)服薬します。7日間のうち1日でも薬を飲まない日があると、期待する効果が得られませんのでご注意ください。この1次除菌によって、70~80%の方が除菌に成功します。

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1次除菌後の判定検査

1次除菌後、4~8週間以上の日数を空けて再度ピロリ菌検査を行い除菌が成功したかを判定します。

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2次除菌治療

ピロリ菌が認められなかった場合…除菌は成功です。各疾患の治療に切り替えます。

ピロリ菌の感染が認められた場合…2回目の除菌(2次除菌)を行います。7日間の服薬と4~8週間以上の経過観察は1次除菌と同様ですが、お薬(抗生物質)の種類を変更します。2次除菌まで行うことで、約95%の方が除菌に成功します。2次除菌で不成功になってしまった場合は3次除菌となります。保険適用のある除菌は2次除菌までですが、自費診療で3次除菌、4次除菌を行うことも可能です。

ピロリ菌検査・除菌治療の費用

保険診療 (下記料金は一般的な目安です)

胃カメラの時に行うピロリ菌検査

3割負担 1割負担
迅速ウレアーゼ試験 1,560円 520円
鏡検法 4,020円 1,340円
培養法 1,800円 600円

※別途、胃カメラの費用が3割負担4,500円 1割負担1500円かかります。

胃カメラを使用しないピロリ菌検査

3割負担 1割負担
尿素呼気試験(薬剤代含め) 1,560円 520円
抗体検査(血液・尿検査) 690円 230円
便中抗原検査 900円 300円

ピロリ菌除菌治療

3割負担 1割負担
1次除菌(胃薬1種類、抗生物質2種類)
1日2回 7日間
1,560円 520円
2次除菌(胃薬1種類、抗生物質2種類)
1日2回 7日間
1,440円 480円
3次除菌以降 自費診療となりますのでご相談ください。

※ピロリ菌のみの検査では保険適用となりません。保険適用の除菌治療には、胃内視鏡検査が必要です。

除菌後の副作用について

大多数の方は、何事もなく除菌治療を終えますが、副作用として軟便や下痢が10~30%程度報告されています。また、頻度は高くありませんが、味覚異常、肝臓の数値の異常などもあります。

注意していただきたい副作用は、発熱を伴う下痢や血便、じんましんなどです。これらは極まれに出現することがあり、放っておくと悪化する可能性があるため、このような症状が出た場合は速やかにご来院ください。

除菌治療後も定期的な検査は大切です

除菌治療後も定期的な検査は大切です

ピロリ菌の感染と胃がん発症は大きく関係しているため、ピロリ菌の除菌治療を行うことで、胃がんの発症リスクを軽減することが可能です。ただし、除菌治療を行っても胃がんのリスクがゼロになったわけではありません。

除菌後の方は胃粘膜の萎縮が残るため、もともとピロリ菌がいない方に比べると、胃がんの発生頻度が高いことがわかっています。また、胃がんの原因はピロリ菌だけでなく、塩分の過剰摂取や喫煙、食生活とも密接に関連しているといわれています。

ピロリ菌が陰性であっても、胃がんを早期の段階で見つけるためには、1年に1回の定期的な胃内視鏡検査が重要です。

ピロリ菌の感染経路について

ピロリ菌は経口的に感染しますが、感染する時期は免疫が十分ついていない5歳ぐらいまでと言われています。戦後間もない頃は不衛生な環境が多く、ピロリ菌に汚染された井戸水などを飲んで感染する子供が多かったと言われています。

現在は井戸水の利用など不衛生な環境は少なくなりましたが、乳幼児の時にピロリ菌に感染していた大人から子供に移すケースが多く見られます。硬い食べ物や食べづらい物を自分が口で噛み砕いたり、半分にしたりして子供や孫にあげるということをやっていたと思います。

つい親心、愛情からやってしまうことが知らず知らずにピロリ菌を移してしまいます。お年寄りほどピロリ菌感染率が高いので、60歳以上の方が子供や孫に口移しで食べ物をあげた場合2人に1人はピロリ菌を移している可能性があると言われています。

両親またはおじいちゃん、おばあちゃんがピロリ菌を除菌したことがあるという方はご自身のピロリ菌チェックもご検討ください。

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