食道がん|ふくろう内科クリニック|日野市豊田駅

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食道がん

食道がん|ふくろう内科クリニック|日野市豊田駅

食道がんとは

食道がんとは

食道がんは、世界的にみても罹患率と死亡率ともに比較的高い悪性腫瘍(がん)です。特に男性に多く、主なリスク因子として喫煙・飲酒が挙げられます。組織型(がんの種類、性質)やがんがどこまで進行しているかで治療法が異なります。

罹患率

世界・日本の罹患率をみてみると、世界では年間約60万人が新たに食道がんと診断されています(GLOBOCAN 2020)。日本では年間約2万5,000人が罹患し、消化管がんの中では胃・大腸など含め上位5位に入る疾患となっています。年齢分布をみてみると50歳以降で増加し罹患のピークは60歳代後半から70歳代となっています。

性差

食道がんは男性がなりやすい疾患です。男性の罹患率は女性の約5〜7倍とされています。また、日本における2020年のデータでは、男性約2万人、女性約4,400人が新規罹患しています。

リスク因子

主要なリスク因子としては以下のものがあげられます

  • 喫煙:喫煙していない人に比べたリスク(相対リスク:RR)は2〜4倍に上昇します。
  • 飲酒:特にアルコール代謝酵素系のうちALDH2活性の低い人(お酒の弱い人)でRRは4〜10倍まで上昇します。
    (お酒の強さに関してはこちらの記事を参照ください:アルコールに関係するおなかの病気、お酒の強さで徹底解説!|ふくろう内科クリニック|日野市多摩平
  • 熱い飲食物、高塩分の摂取:食道粘膜障害を介して発がんのリスクが増加します。
  • 食道アカラシア、バレット食道:腺がんのリスク因子となります。
  • その他:肥満(腺がん)、低野菜・果物摂取、遺伝的素因などがあります。

組織型別にみたリスクとしては

  • 扁平上皮がん:日本・アジアで多く、主に喫煙・飲酒がリスクとなります。
  • 腺がん:欧米で増加傾向、バレット食道や肥満がリスクとなります。

症状

食道がんの症状はがんができる部位や、進行度で異なりますが、1番特徴的なのは嚥下障害(特に固形物)です。早期には無症状なことも多く、症状出現時には進行していることが多いです。

嚥下障害(ディスファジア)

最も頻度が高い症状で、約70-80%の患者で認められます。初期は固形のものが飲み込みにくくなり、進行すると水などの液体も通りにくくなります。

胸部違和感、胸痛

胸部の圧迫感や痛み、灼熱感などがみられ、食事時に増悪することが多いです。

体重減少

摂食障害や腫瘍の悪液質(がんによる代謝異常)により短期間で著明な体重減少がみられることがあります。

嗄声(声がれ)

反回神経浸潤により声がかれ、発声しにくくなることがあります。主に進行例でみられる症状です。

咳嗽、誤嚥、喀血

気管、気管支への浸潤や瘻孔形成(気管との間にトンネルができる)により出現します。主に進行例でみられる症状です。

検査・診断

食道がんの診断には内視鏡検査を中心とした複数の検査が用いられます。最終的な確定診断には内視鏡による生検(組織学的診断)が必須ですが、進行度や治療方針を決めるのに画像検査や機能評価も行われます。

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

胃カメラ検査

食道がん診断の第一選択です。病変を視認し、内側から病変の範囲を評価します。またNBI(Narrow Band Imaging)や拡大内視鏡を使うことで深達度の推定も可能となります。

生検(組織診断)

内視鏡検査で採取した組織を顕微鏡で見ることで扁平上皮がん、腺がんなどがんの種類が確認できます。

画像診断(進行度評価)

CT、MRI、PET-CT、超音波内視鏡(EUS)などを使うことでリンパ節転移、遠隔転移、周囲臓器浸潤を評価することができます。

バリウム造影検査(食道造影)

がんの位置、どの程度狭窄しているかを外側から評価することができます。また内視鏡が困難な方や術前の形態評価に補助的に使用されます。

ステージ(病期)

TNM分類(UICC 8版)

がんがどこまで進行しているかを表す指標で T(原発腫瘍の深達度)、N(リンパ節転移)、M(遠隔転移)の組み合わせでステージI〜IV期に分類されます。

  • 早期(T1a,T1b):粘膜・粘膜下層までの進達。
  • 局所進行(T2〜T4,N+):筋層以深、リンパ節転移を認める。
  • 遠隔転移(M1):他の臓器に転移している。

ステージ分類と5年生存率(日本のデータ)

0期(Tis,N0,M0)

上皮内癌に限局(比較浅い層にしかがんがない)する場合、5年生存率は約90%となります。

I期(T1,N0,M0)

粘膜・粘膜下層までの進達でリンパ節転移、遠隔転移を認めない場合、5年生存率は約70〜80%となります。

Ⅱ期(T2またはT3,N0/N1,M0など)

筋層以深への浸潤、または少数のリンパ節転移を含む場合、5年生存率は約40〜60%となります。

Ⅲ期(T3/T4a,N1~3,M0など)

外膜浸潤(食道の外側まで浸潤)や多発リンパ節転移を含むが遠隔転移がない場合、5年生存率は約20〜30%となります。

Ⅳ期(M1またはT4b)

遠隔転移または切除不能進展の場合、5年生存率は10%未満となります。

治療法

大腸がんの治療には内視鏡的治療、外科的手術、抗がん剤、放射線療法があります。

0期・Ⅰ期

内視鏡的切除(ESD/EMR)や外科的治療が選択されます。

Ⅱ期・Ⅲ期

外科的切除+術前/術後科学放射線療法が選択されます。術前化学放射線療法(CRT)は腫瘍縮小・治癒率向上を目的とし、術後補助療法はリスクに応じて選択されます。

Ⅳ期

化学療法・緩和療法が主体となります。

緩和治療

ステント留置(通過障害などがあれば)、放射線療法、支持療法(痛み止め、鎮静剤など)などを行います。

さいごに

大腸がん手術後のフォローアップ

食道がんの初期はなかなか症状が出にくく発見が遅くなる場合があります。早期発見できれば内視鏡的に切除可能ですが、進行してしまうと治療が困難になる場合があります。症状がある方、リスク因子のある方は内視鏡検査をご検討ください。

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