新型コロナワクチンの任意接種は受けた方がよいか|ふくろう内科クリニック|日野市多摩平

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新型コロナワクチンの任意接種は受けた方がよいか

新型コロナワクチンの任意接種は受けた方がよいか|ふくろう内科クリニック|日野市多摩平

はじめに

201912月に中国武漢市で第1例目の感染者が報告された新型コロナウイルスですが、瞬く間に世界中に広がりパンデミックと呼ばれる大流行になりました。この未知のウイルスと戦うために各製薬メーカーがワクチン開発に尽力し、202012月にファイザー社とビオンテック社が共同開発した「COMIRNATY(コミナティ)」というワクチンが世界で初めて認可されました。その後日本でも全額公費にてワクチン接種が始まり、新型コロナウイルス感染予防に寄与してきたと思われます。しかし2024331日でワクチンの無料接種は終了し、以降は自費での任意接種もしくは一部自己負担での接種に移行していきます。ウイルス自体の重症化率も低下しているものの、毎年の流行は変わらず今後ワクチンを接種するか迷っている方も多いのではないのでしょうか。また、ワクチンを接種してもコロナにかかってしまった方は、接種する意味はないのではと考えるかもしれません。

任意接種は受けた方がよいか

結論、ワクチンを接種するべきかどうかは個人の状況、価値観によって異なります。ただ、なるべく感染したくない、重症化したくないという方は可能ならワクチンを接種を検討したほうがよいと思われます。理由はこのコロナ禍と言われたこの数年で様々な分野の人たちが知恵を振り絞って考えた結果、感染を予防する唯一の方法は「ワクチン接種」と「隔離」の2つのみだったからです。経済活動が再開した現在、緊急事態宣言のような「隔離」は現実的ではないため、残された「ワクチン接種」をどのように考えるかが重要になってきます。

ワクチンはどのように作られるか

従来のワクチンがウイルスを弱毒化したタイプや、毒素の一部を使用するタイプに対して新型コロナウイルスのワクチンはmRNAを使用するタイプのワクチンです。生物は自分の遺伝情報をDNAの中に保有していますが、その情報をタンパク質に落とし込む際に必要なものがmRNAです。mRNAワクチンのメリットとしてはウイルスの遺伝情報がわかれば迅速に開発が進められる点にあります。また、ウイルスのスパイク部分(イメージとしてはウイルスのトゲトゲしている部分)に対して抗体を効果的に作り出し免疫応答の役割を果たします。

ワクチン接種のメリット

<重症化の予防>

COVID-19の重症肺炎の予防効果については、デルタ株流行期からオミクロン株流行初期(BA.1/BA.2流行期)にかけて、呼吸不全を伴うCOVID-19肺炎発症および人工呼吸器を要するCOVID-19肺炎発症に対する予防効果を検討した研究が行われています。この研究によれば、ワクチンは重症化予防にも一定の効果を持っていることが示されています。デルタ流行期では呼吸不全を伴うCOVID-19肺炎および人工呼吸器を要するCOVID-19肺炎に対してそれぞれ96%*、>99%*と高い有効性を示しました。オミクロン株初期においては2回接種後6か月以降で呼吸不全を伴うCOVID-19肺炎に対しては42%*と少し低下しましたが、人工呼吸器を要するCOVID-19肺炎に対しては92%*と高い有効性を示しました。そして3回目接種でも呼吸不全を伴うCOVID-19肺炎および人工呼吸器を要するCOVID-19肺炎に対してそれぞれ86%*、>99%*と高い有効性を示しました。(*は点推定値)

※国立感染症研究所データを引用

 

<医療崩壊の防止>

過去のコロナ流行でも医療崩壊が起きた、または起きかけた地域があったと思います。コロナ感染者や重症化患者が増えることで一般外来や入院病床が切迫したり、医療従事者の感染の感染が増えることで通常の診療を行うことが困難になります。ワクチン接種により医療現場の負担を減らせることが期待できます。

 

<経済活動への貢献>

ワクチン接種により感染拡大のリスクが下がることで、日常生活や仕事など社会全体の活動が活性化し経済回復の効果も期待できます。

ワクチン接種のデメリット

<副反応>

※厚生労働省報告データ参照

主な副反応としては、注射をした部分の痛みや腫れ、倦怠感、発熱、頭痛、筋肉痛、下痢などがありますが、ほとんどは経過観察で数日以内に改善します。まれにアナフィラキシー(アレルギー反応)や心筋炎、心膜炎などの重篤な副反応も報告されています。

 

<有効性の期間>

ファイザー社製およびモデルナ社製のワクチンでは大規模なランダム化比較試験(信憑性の高い研究方法)で高い有効性が示されています。しかし抗体がつくまでは12週間かかり、感染予防効果の持続期間は約23か月程度(オミクロン株流行下のデータ)とされております。よって夏と冬に流行がきている昨今では1回打てば1年間大丈夫というわけにはいきません。

 

<変異株への対応>

ウイルスも生き物のため日々進化していきます。これまででもデルタ株、オミクロン株など変異株が出現した場合、ワクチンの効果が下がってしまう可能性があります。

今後のワクチン接種の流れ

令和641日以降は任意接種でしたが、秋ごろから65歳以上の方、60歳から64歳で対象疾患()を持っている方には自治体による定期接種が行われる予定です。自己負担額は各自治体で異なるため確認が必要です。

 

()60歳から64歳の方で心臓、腎臓、呼吸機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方。HIV(ヒト免疫ウイルス)による免疫機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方。

まとめ

ワクチン接種をするか迷っている方はたくさんいると思いますが最終的には「自分の身は自分で守る、他の人に移さない」これに尽きると思います。今一度自分の置かれている状況を確認しましょう。「できるだけ感染、重症化を予防したい」、「流行期に大切なイベントがある」、「同居している家族に移したくない」このような方はワクチン接種を検討してもよいのではないでしょうか。わからないことがあればご気軽にご相談ください。

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