高血圧の正しい治療、高血圧ガイドラインからわかりやすく解説!|ふくろう内科クリニック|日野市多摩平

「豊田駅」より徒歩9分多摩平 Tomorrow PLAZA 1階
042-585-2960
ヘッダー画像

高血圧の正しい治療、高血圧ガイドラインからわかりやすく解説!

高血圧の正しい治療、高血圧ガイドラインからわかりやすく解説!|ふくろう内科クリニック|日野市多摩平

はじめに

病院に行かなくても様々な場所で血圧を簡単に測ることができるようになり、自分の血圧をチェックする機会も増えているのではないでしょうか。日本の高血圧有病者は約4300万人(2017年推計)であり、これは日本の人口を考慮すると3人に1人が高血圧ということになります。もはや高血圧は国民病といっても過言ではありません。今後も食生活の欧米化、人口の高齢化などで高血圧の患者数は増加すると考えられます。そして高血圧は症状がほとんどないものの、高血圧による合併症は多く、中でも高血圧に起因する「脳心血管系の死亡者数」は年間約10万人と言われています。合併症により悲しい思いをする患者様を減らすには早期からしっかりと管理していくことが重要となってきます。今回は高血圧の正しい知識をみなさんと勉強していきたいと思います。

高血圧とは

そもそも高血圧とは、安静にしていても血圧が高い状態が常時続いている方のことをいいます。多くの方が「血圧が140mmHgを超えたら高血圧」という認識だと思いますが、実は測定する場所によって基準が異なります。病院や診療所などで測る場合は、血圧が140/90 mmHg以上の方を高血圧と診断します。また自宅で血圧を測る場合は、血圧が135/85 mmHg以上の方が高血圧と診断され、病院で測定するときよりも5 mmHg低く定義されています。

日本の高血圧の現状をみてみますと、有病者4300万人の内の56%しか治療介入されておらず、さらにしっかりコントロールされている人はその半数がしかいません。中には自分が高血圧だと自覚していないケースもあります。

高血圧の原因

高血圧の原因は2つあると言われており、1つ目は原因がはっきりしない本態性高血圧です。日本人の高血圧罹患者の約9割が本態性高血圧と言われており、遺伝的な要因や日々の生活習慣(塩分の過剰摂取、運動不足、体重の増加、たばこ、アルコール摂取、ストレス )などが関与していると言われています。2つ目の原因としては、他の持病が原因となる二次性高血圧です。腎臓の病気(腎血管性高血圧、 腎実質性高血圧など)やホルモン異常(原発性アルドステロン症、クッシング症候群 など)が原因で高血圧になります。

高血圧の症状と合併症

血圧が急激に上昇すると頭痛やめまいが起こることがありますが、少し血圧が高い程度では自覚症状がみられることはほとんどありません。よって知らないうちに病状が進行することがあります。高血圧の状態が続くと、その分だけ負荷をかけて心臓から血液を送らなくてはならず、それにより血管は傷つき、徐々に動脈が硬くなっていきます。この状態で何も治療をしなければ、血管は狭窄、あるいは詰まってしまい、致死的な合併症(心筋梗塞、狭心症、心不全、大動脈解離、脳梗塞、慢性腎臓病 など)を引き起こす可能性が高くなります。合併症を引き起こさないためにも、血圧が高い人は定期的に血圧を測定し、高値が続いていると感じたらすぐに受診することが大切です。

高血圧の治療

高血圧の治療は、血圧を適正値にコントロールしていくことで、合併症を防ぐというのが目的になります。一般的には生活習慣の是正(食事療法・運動療法)から始めていきます。食事療法としては、塩分摂取量を16g未満に抑え、塩分を尿と一緒に体外に排出するため、カリウムを豊富に含む野菜や果物を多くとり、タンパク質をとる場合は肉よりも魚を食べるようにします。また肥満の方はそれだけで心臓に負荷をかけているので、ダイエットも必要です。運動は血圧を下げる効果があるので必要ですが、無酸素運動のような激しい運動は余計に血圧を上昇させてしまうので、無理をしない程度の有酸素運動(軽度なジョギング、散歩、サイクリング など)を継続的に行うようにしましょう。

なお食事療法、運動療法だけでは血圧コントロールが難しい場合は、薬物療法(降圧薬)になります。降圧剤としては主にCa拮抗薬、ARBACE阻害薬、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬を使用し、患者さんの持病を考慮し選択してきます。血圧降下の程度によって1剤の場合もあれば、複数の組み合わせで治療する場合もあります。

降圧目標

高血圧治療ガイドライン2019年では年齢、持病に応じて降圧目標が決められています。75歳未満、脳血管障害(両側頸動脈狭窄、脳主冠動脈閉塞なし)、冠動脈疾患、慢性腎臓病(尿蛋白陽性)、糖尿病、抗血栓薬内服の方は診察室血圧130/80mmHg以下、家庭血圧125/75mmHg以下に保つことが推奨されています。また75歳以上、脳血管障害(両側頸動脈狭窄、脳主冠動脈閉塞あり)、慢性腎臓病(尿蛋白陰性)の方は診察室血圧140/90mmHg以下、家庭血圧135/75mmHg以下に保つことが推奨されています。

おわりに

高血圧は症状が出にくいためあまり病気として認識しにくいですが、時間が立つにつれて体に悪影響を及ぼします。自分は高血圧とは無縁と思われている方も多いかもしれませんが、「たかが高血圧、されど高血圧!」、血圧が高いと感じたらほったらかしにせず、まずは相談してください。

TOP